LOAK-PROTOTYPE 00 – Monitor Sound Tuning Model

LOAK-PROTOTYPE 00 (Monitor Sound Tuning Model)

Front : Titanium(CNC)
Body : Titanium(3D Printing)
Rear : Wood,Brass.

特注で制作したLOAK2のモニターサウンドチューニングのモデルです。テストの意味もかねて制作しましたが、音が非常に素晴らしいので紹介します。

筐体はLOAK-PROTOTYPEでテストしましたが、バックプレートが真鍮のタイプと、開放型の木材(アフリカンブラックウッド)の2種類を制作しました。

LOAK2-TX01,02は比較的味付けが多く、太く迫力のある音が魅了ですが解像度や音の明確さなどはそれほど高くはありません。 そこでテストとしてより現代的な音色にするべく振動板へテンションをかけることで解像度の高いシャープな音とクリアで明確な音を作り上げました。

このようなドライバーのチューニングにすることで繊細で反応の速い音を出すことが可能となります。しかし、その反面、高域に強い鋭さを伴うことになります。この問題に対処するためにドライバーから出る鋭い音を抑制するフィルターをドライバーのすぐ前に設置し、フロント筐体のノズル内にも反響による音を抑えるフィルターを設置する、2重のフィルター構造をとっています。

これにより高域はとてもマイルドで聞きやすいながら、音が柔らかくなりすぎることはなく繊細でカッチリとした音を出すことができます。また、この二重のフィルター構造は筐体内部の余韻や残響といった「音の味付け、色付け」部分を抑え、きわめて素直でストレートな音色を出すことに貢献しています。

本来はフロント筐体のフィルター構造の密度を高くすると、マイルドで聞きやすい音を得る代償として、高域が抑えられ、高域の伸びや繊細さを失うことになるのですが、このテストモデルはドライバーのチューニング部分ですでに鋭く強く出すようにしているので、それが抑えられてちょうど良く聞きやすいバランスに落ち着いています。現行のモデルで最も近いのはTX03ですが、それよりもう少し音の滑らかさや素直さが感じられます。

このような素直でストレートな音はバランスが良い代わりに、迫力や残響や余韻を楽しむことには向かないこともありますが、モニター的に音を分析するような聞き方にはとても向いています。

真鍮を使ったクローズドタイプのほうは、開放型のアフリカンブラックウッドに比べて少し音の押出が強い印象で、開放型のほうが少しだけより素直な音色のように思います。

今現在、次の新しいイヤホンの構想も考えていますが、ドライバーや筐体の開発やテストの前に、まずどのような方向性の音にするべきかという意味で今回テストしました。 ダイナミックらしさを追求したTX01,TX02とは真逆の音でありますが、個人的にはとても聴きやすくもっとも普通であり過不足ないという印象の素晴らしい音です。特に、高音が鋭くなくストレスがない聴きやすさを保っているにもかかわらず、高音を犠牲にしていない点はテストした甲斐があったように思います。

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