(1)どんな音にする? 現時点でのフラッグシップ機LOAKを基準に音を考えてみる。(The “634EARS for the Best Earphones” Project.)

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634EARSの現時点でのフラッグシップ機はLOAKですが、このモデルを基準に「もうすこしこうだったらなぁ」という部分を音にだけ的を絞って分析して、634EARS最高のイヤホンを作る参考にしてみたいと思います。

今回は音の方向性を決めてしまうのではなく、現行のフラッグシップ機であるLOAKから物足りない部分や不足している部分、逆に次のモデルへ引き継ぎたい良い部分などを見ていこうという話です。

LOAKには様々なバリエーションがあり、木材(金属の場合も)の選択も含めるとそれだけでかなり幅の広い音が存在しますが、今回はLOAKに共通する部分だけに注目してみていきましょう。

各モデルはまたそれぞれ別々に分析したいと思います。
なるべく細分化して1つ1つみていくほうがわかりやすいですからね。

《LOAKの音》

LOAKの音は私は満足度はかなり高くそれなりにクオリティの高いものだと感じていますが、ディティールの細かさや解像感などを優先しているため音の線が細くパワーや厚み、低音の沈みこみが足りないなと感じています。

軽やかさと気持ちよさなどはモデルによってはとても良く感じる一方、音の奥行きや重厚感などのドッシリとしたリッチさも欲しいところです。

これはドライバ―の空気の取り込みを制限し振動板の動きにテンションをかけていることと、音の明るさや抜け感のためにドライバ―前の圧力を多く抜いていることが大きく関係しています。

また、わかりやすく高音質にするため明確で明瞭な音を求めて音の輪郭を少し強調させていることで、一部の中高域の音が主張しすぎたり前に出てきすぎることに少し違和感を感じています。

LOAKの特に開放型は背景は広い空間ですが、あまり近くで一部の中高域が主張しすぎるとその距離の近さのためせっかくの広さが感じにくくなります。

LOAKの標準4モデルのなかでこの距離感が前に近くなることをもっとも抑えているのがLOAK-T(OP)になりますが、それでも木材の選択やチューニングによってはかなり中高域の一部が強いアピールをしてきます。

しかしこの音の輪郭がはっきりとしたコントラストの強さがないと全体がボヤッとして音がつかみにくくなるのも事実なのでここはバランスを取る必要がありますが、広さを感じられることもこのプロジェクトで求める音には必要かなと思っているので見逃せない部分だと感じています。

音のチューニングというのは何かを望めば何かが失われることが多いです。
ダイナミック型ドライバーを私は主に取り扱うのですが、D型ドライバーはそれが顕著だと感じます。

個性強めて一芸に秀でた音を作るのは比較的簡単ですが、今回は634EARSで最高のイヤホンということなのである程度オールマイティーな部分が必要だと思います。

逆にすべてのバランスを取って平均値に仕上げてしまうと個性のない面白くない音になってしまうので、個性としての何かは求めつつも対極にあるものを失わないレベルでバランスを取ることが必要になってくるでしょう。

今のLOAKでも(モデルによる)解像感や明確性のある音は満足度の高いものではありますが、それゆえに不足している部分もあるのも事実です。

LOAKの音
《良い部分》
繊細さ、明瞭さ、明確さ

《気になる点》
音の軽さ、奥行きや沈み込みの弱さ、力強さ
一部の中高域の主張が強い

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