小型化されたバックプレート ― 設計の意図
ROXA-S100では、これまでのMIROAKやLOAKシリーズと比べ、バックプレートの直径を一回り小さく、厚みも約半分に設計しています。この変更には2つの理由があります。
1つは、耳により自然にフィットする筐体形状を実現するため。
もう1つは、このモデルの価格帯を考慮し、どの木材を選んでも大きな音の差が出すぎないように設計したことです。
リア筐体(バックプレート部分)は、ダイナミック型ドライバーの背面にあたる重要な構造です。ここで木材の体積を少し減らすことで、ドライバーの動作に与える影響を抑え、木材による音色の違いをほどよく整えています。
つまり、素材による差を完全になくすのではなく、「どれを選んでもROXA-S100の音として成立する」バランスを追求した設計です。
それでも、634EARSの特徴でもある木材を選んで作るセミオーダーイヤホンという個性はそのまま残しました。音への影響が穏やかになった分、デザインや木目の表情を自由に楽しめる構成となっています。


木材によるわずかな音の違い
今回のROXA-S100では、ホンジュラスローズウッド・スネークウッド・花梨瘤・黒柿の4種類で試作を行いました。
その中で、最も明確に音の違いを感じたのはスネークウッドです。スネークウッドは634EARSで扱う木材の中でもトップクラスに硬い素材で、音の輪郭がはっきりとし、タイトでスピード感のある印象です。
一方で、花梨瘤・黒柿・ホンジュラスローズウッドはどれも非常に近い音傾向を示し、聴き比べても大きな差は感じにくいほどです。
花梨瘤や黒柿を使用したモデルは、やや柔らかく、エッジが少しマイルド。低域にはわずかな“ふくらみ”があり、ウォームさを感じさせます。ホンジュラスローズウッドはその中間に位置し、全体のバランスが非常に良いタイプです。






木材選びの楽しみ方
ROXA-S100では、木材による音の違いは繊細ながらも確かに存在します。しかし、それは「どの木材を選んでも安心して楽しめる範囲内」に収まっています。
そのため、これまでのモデルのように音の傾向をシビアに選ぶ必要はなく、デザインや木目の美しさで選んでも満足度の高い仕上がりになります。
もちろん、音の細部までこだわりたい方は、634EARSの木材リスト表を参考にして、密度や硬さの数値から自分好みの音色を導き出すのもおすすめです。
ROXA-S100は、「音を選ぶ」というよりも、「自分の好きな木を選んでも安心できる」自由さを持ったモデルです。
どの木材も、自然が作り出した一点もの。その木目や色合い、響きのわずかな違いが、あなたのROXA-S100を特別な一本にします。音と木の個性、どちらもぜひ楽しんでください。

