LOAK-PROTOTYPEに採用しているチタンの3Dプリント筐体の代わりとしてCNC切削によるチタンの筐体を作ったので音のテストをしました。
今私手元にあるデモ機であるLOAK-PROTOTYPE01(LP01)スネークウッドと02(LP02)アフリカンパドゥクと同じ木材、同じチューニングで制作しています。上の写真のものがそれですが、見た目はLOAK2と同じですね。チタンボディのこのイヤホン（LOAK2Titanium仮)のほうが僅かにグレーっぽいかなという程度の違いです。
実際に同じチューニングで音の比較をしたのが上記のLOAK-PROTOTYPEの2機種です。
外観的な部分やモノとしてのビルドクオリティは明らかに今回のテスト機であるLOAK2Titanium(仮)のほうがよいです。完璧に設計通りに削られた筐体は正確で歪みや表面の仕上げのムラがありません。3Dのほうがその製造方法ゆえ設計通りの完ぺきな正円を作ることができず僅かに筐体に歪みがあり表面のテクスチャーにもムラがあります。
音の比較
音は想定していた通りやはり違いがあります。同じチタンでも3Dプリントと切削では硬さに違いがでるのは製造元から聞いていましたが、その硬さの違いがそのまま音として出ているような感じです。
CNC切削では一般的なチタンと硬さや比重やヤング率などは同じになりますが、3Dプリントで出力したチタンはそれらより硬くなります。硬くなるというのは「曲がりにくい」「歪みにくい」「しなりにくい」という意味です。
3Dプリント筐体)
3Dプリント筐体のイヤホンのほうがCNC切削にくらべて音がスマート（タイト）で音の輪郭はハッキリ浮き出ます。反応が速いというか音の立ち上がりが速く感じます。音抜けがよいのか僅かにこちらのほうが開放的な音で天井の高さや横の広さも感じやすいです。ただし、高音に少し強い部分があるなと感じます。
CNC切削筐体)
切削筐体のイヤホンのほうが少しだけ音がソフトで僅かに音の線が太いように感じます。特に中低域はこちらのほうが膨らみがあります。高音も3Dプリントより少しマイルドで音のキツさは感じにくいですが3Dプリントのものより空間の広さが狭まり、音の開放感が弱くなったように思います。また、3Dプリントのものより音がすこしゆっくりで滑らかです。3Dプリントほど輪郭がハッキリとしすぎず全体の統一感があるように思います。
私の感想）
最初はシャープでソリッドでスッキリとした音の3Dプリント筐体と、ソフトでマイルドな音で全体の音馴染みがよいCNC切削筐体の違いは好みの違いだと感じました。その音の差はわずかで、例えるならば木材を最高に硬いスネークウッドにするのとローズウッドにするかの違いくらいです。
ただ、何度も聴き続けてみると、明らかに3Dプリント筐体のイヤホンのほうが音が洗練され研ぎ澄まされており、音の響きや艶、張りといった周波数帯域グラフではわかりにくい音のプラスαの部分が優れているように思います。この部分はうまく言語化できなくて、感動するかしないかみたいな感覚的な部分に近いように思います。
僅かな音の差なので聴き比べなければわからないし、木材の選択でカバーできる部分も多少あるなと思うので、3DプリントとCNC切削の2つの筐体は好みの差程度の違いと言えなくもないです。しかし「音質」だけに注視した場合、この2つのイヤホンの比較は音の好みの違いを超えた優劣の差があるように思います。
結論は先延ばしも予定通り)
正直なところ、3Dプリント筐体のイヤホンはモノづくりとして不安定な部分がありすぎるのでこのまま同じように3Dプリント筐体でイヤホン制作を続けるのは辞めるつもりでしたが、実際に音を比較して悩んでいます。
設計を見直していくつか修正することでロスを減らし歩留まりを改善できれば続けることは可能かもしれないので（もちろん価格は間違いなく上がります）、製造してくれる取引先と試行錯誤を重ねてみようと思います。
ただし、CNC切削のチタン筐体はとても仕上がりが良くビルドクオリティと音のバランスもとれていると思うので、こちらをまずはチタンボディ筐体のLOAK2として仕上げてみるつもりです。
ということで、予定とおり今の3Dプリント筐体の在庫がなくなり次第LOAK-PROTOTYPEは一旦受注停止にしようと思います。それほど在庫は多くないので絶対に3Dプリントのほうがいいという方は早めに考えていただいたほうが良いかもしれません。もちろん3Dプリントチタンの筐体も継続を模索しますが、価格は間違いなく上がりますし、次のロットの制作はいつになるか現時点では全くの未定なので、早めにご検討ください。
LOAK-PROTOTYPE03は一足先に2ndロットの制作は中止にしてSOLDOUTといたします。