LOAK-PROTOTYPE 01(LP01)

LOAK-PROTOTYPE 01(LP01)がリリースされました。商品については634EARSの製品ページ(以下のページ)に記載しておりますので、こちらのブログではLOAK-PROTOTYPE 01(LP01)の詳細や他モデルとの音の比較、リア筐体の木材(金属)について解説したいと思います。

【LOAK-PROTOTYPE 01(LP01)の詳細】

LOAK-PROTOTYPEシリーズはLOAK2制作の過程における試作段階で生まれた新しいLOAKです。そしてこのLOAK-PROTOTYPE 01(LP01)はLOAK2(CL)のチタニウム筐体バージョンになります。

筐体)

筐体の構成はウェブサイトの LOAK-PROTOTYPEのページ にも記載していますが以下の構成となっています。

フロント筐体:チタニウム
ボディ筐体:チタニウム
リア筐体:木材各種(LP01モデルのみステンレス、真鍮、銅、LP03は真鍮のみ)

PROTOTYPEはフロント筐体はLOAK2と同じチタニウムですが、ボディ筐体もチタニウムになっています。ボディ筐体は3Dプリントでの制作です。チタニウム素材にすることでステンレス筐体よりもシナりやすく(変形しやすく)、リア筐体内部での空気の反発がとても速く大きくなります。これによって振動板が大きく速く動き、ダイナミックな幅のある音を出しながら反応の早いキレの良い音も実現しています。

フロント筐体はLOAK2と同じようにドライバ―を固定する場所に薄いステンレスを組み込んでいます。チタニウムやアルミは振動減衰が低くドライバ―から「出た音」をノズルの先端へ伝えるのにとても良い素材ですが、ダイナミック型ドライバ―の振動を抑えることが苦手です。そこでドライバ―の接地面にステンレスを組み込むことでダイナミック型ドライバーの振動をしっかり抑え、力強い低音とブレのない音を出すことを実現しています。

ダイナミック型ドライバーの振動板はカーボン素材に変更しました。硬いけれどよくシナる(変形する、歪む)ので、速く大きく動きます。これにより反応の早いキレのあるシャープな音と幅のあるダイナミックな音が出せるようになっています。

【音質】

音のベースとなるのはLOAK2(CL)ですが、LP01はもう少しだけ軽やかで繊細な音です。また、響きが多く艶のある音が特長的です。弾力があり中低域は適度に膨らみますがしっかりと輪郭があり音の反応が速いいです。また、適度に音抜けの良さがあり全体のバランスがとても良い音です。

旧モデルとの比較)

旧LOAKとは音が違いますが、低音の質感が旧LOAK-T(OP)に少し似ています。旧LOAK-T(OP)よりLP01は低音が強いですが、低音が球状に素早く広がり収束し音の輪郭がはっきりしています。旧LOAKは音が細く硬くスリムで明瞭でしたが、このLP01は音が太いのに繊細さと明瞭さがあります。音の響きや余韻は明らかにLP01のほうが多いです。

LOAK2との比較)

LOAK2のなかではベースとなっているLOAK2(CL)と音がすこし似ていますが、LP01のほうが音抜けがよく軽やかさとキレがあります。低音はLOAK2(CL)のほうが僅かに多いです。音の太さは僅かにLP01のほうがスリムだと思います。また、LOAK2より明らかに音の響きや余韻が多く、艶があり色っぽい音を出します。特に中高域にその特徴がよく出ていると思います。

他のPROTOTYPEとの比較)

PROTOTYPEシリーズのなかでもPROTOTYPE01(LP01)は他よりもキレがありシャープです。輪郭もハッキリしています。他のPROTOTYPEであるLP02やLP03はもっと音が太くウォームでゆっくりしています。またLP01は中高域がよく響くのに対して、LP02やLP03はもう少し低い帯域の響きがあります。

【リア筐体の木材(金属)について】

このモデルもLOAK2(CL)と同じく、開放型のモデルよりもリア筐体の木材や金属の種類による音の違いが大きいです。それでも、どの木材を選んでもLP01の音には違いはなく、選んだ素材によって他のモデルになるほどの大きな変化はありません。しかし、聴き比べるとわずかな違いが判る程度には音に差があります。

このモデルではもともとのドライバーのチューニングがLOAK2(CL)と同じで太い音なので、ある程度硬い木材がオススメです。あとは硬い木材でも密度が高いものはキレ良くコントラストの高い音になりますし、密度がそれほど高くない木材では少しだけ軽やかな音色になります。

私はスネークウッドでLOAK-PROTOTYPE 01(LP01)を作りました。最高クラスに硬い木材ですが、密度に対して硬さのほうがあるためキレの良さと軽やかさが両立されています。硬い音にはなるので高域の一部が目立つような印象もありますが、このモデルはもともとの音が太く、それほど硬い音ではないので、程よく刺激がある明るく華やかな中高域がとても楽しく音楽を聞かせてくれます。

金属素材も選択が可能です。金属にはモメンタムファクトリー・Oriiによる着色金属も選択可能です。金属は木材より少し薄く加工し、中心を削って軽量化しています。そしてその削った部分には高反発素材を設置しています。これは塊の金属のままだと重さがあり、リア筐体内部の空気の圧縮による反発が強く音がキツくなりすぎるためです。 また、中心に設置してある高反発素材はリア筐体内部の圧縮された空気を適度に反発し、また適度に入射(吸収)することで、硬く歪みにくい(変形しにくい)金属による強い空気の反発をやわらげてくれるので、振動板の動きがタイトすぎず少し大きく動くことでダイナミックで量感のある音を出してくれます。

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