LOAK-PROTOTYPE 02(LP02)

LOAK-PROTOTYPE 02(LP02)がリリースされました。商品については634EARSの製品ページ(以下のページ)に記載しておりますので、こちらのブログではLOAK-PROTOTYPE 02(LP02)の詳細や他モデルとの音の比較、リア筐体の木材について解説したいと思います。

【LOAK-PROTOTYPE 02(LP02)の詳細】

LOAK-PROTOTYPEシリーズはLOAK2制作の過程における試作段階で生まれた新しいLOAKです。LOAK-PROTOTYPE 02(LP02)はPROTOTYPE 01(LP01)の音をに太くマイルドにし、さらに響きを持たせた情熱的なサウンドのイヤホンです。

筐体)

筐体の構成はウェブサイトの LOAK-PROTOTYPEのページ にも記載していますが以下の構成となっています。

フロント筐体:チタニウム
ボディ筐体:チタニウム
リア筐体:木材各種(LP01モデルのみステンレス、真鍮、銅、LP03は真鍮のみ)

PROTOTYPEはフロント筐体はLOAK2と同じチタニウムですが、ボディ筐体もチタニウムになっています。ボディ筐体は3Dプリントでの制作です。チタニウム素材にすることでステンレス筐体よりもシナりやすく(変形しやすく)、リア筐体内部での空気の反発がとても速く大きくなります。これによって振動板が大きく速く動き、ダイナミックな幅のある音を出しながら反応の早いキレの良い音も実現しています。

フロント筐体はLOAK2と同じようにドライバ―を固定する場所に薄いステンレスを組み込んでいます。チタニウムやアルミは振動減衰が低くドライバ―から「出た音」をノズルの先端へ伝えるのにとても良い素材ですが、ダイナミック型ドライバ―の振動を抑えることが苦手です。そこでドライバ―の接地面にステンレスを組み込むことでダイナミック型ドライバーの振動をしっかり抑え、力強い低音とブレのない音を出すことを実現しています。

ダイナミック型ドライバーの振動板はカーボン素材に変更しました。硬いけれどよくシナる(変形する、歪む)ので、速く大きく動きます。これにより反応の早いキレのあるシャープな音と幅のあるダイナミックな音が出せるようになっています。

【音質】

PROTOTYPE 02(LP02)はLP01にさらに音楽的に豊かな響きを持たせ、太くマイルドな音になっています。特に中低音は良く響き、スピード感やキレよりも少しゆったりした雰囲気のある音です。ライブ感がありとても情熱的なサウンドです。

旧モデルとの比較)

旧LOAKとは音がかなり違います。最も近いのはLOAK-TCですがもっと音が太いです。旧LOAKのようなカッチリした硬質な音ではなく、柔らかくマイルドでウォームな音です。

LOAK2との比較)

LOAK2とも音は大きく違います。LOAK2(CL)より音はファットで中低域が良く響きます。さらにマイルドでウォームです。しかしLOAK2(CL)より音抜けはよく音が太いわりに気持ちよく聴けます。LP01と同様に音の解放感と低音のバランスがよいです。さらに中域の独特な響きによりボーカル(特にジャズボーカルや男性ボーカルなど少し低い帯域)がとても感情的に聞こえます。モニター的な音ではなく音楽的な楽しさを持った音です。

他のPROTOTYPEとの比較)

PROTOTYPE01(LP01)のほうがキレがありシャープです。輪郭もハッキリしています。LP02はもっと音が太くウォームでゆっくりしています。LP03と比べるとLP02は開放感があり低音がすこしだけ弱いです。
オーディオ的な基本性能で比べるとLP01のほうがLP02より優れている要素が多いと思いますが、LP02には他にはない中域付近の圧倒的な響きと余韻の豊かさがあり、歌い手や演奏者の感情を再現したような個性があります。このイヤホンは私の音の好みを全面的に反映させていて、よく聴くジャズやソウルミュージックなどを最高にムーディーに聴かせてくれます。LP01に比べると解像度やキレなどは劣りますが、それを補って余りある個性がこのLP02にはあると感じています。

【リア筐体の木材(金属)について】

このモデルは開放型なのでリア筐体の木材の種類による音の違いは小さいです。どの木材を選んでもLP02の音には違いはなく、選んだ素材によって他のモデルになるほどの大きな変化はありません。しかし、聴き比べるとわずかな違いが判る程度には音に差があります。

このモデルは音が太くウォームでマイルドなのであまり柔らかい木材を使うと音がマイルドになり過ぎてボヤけてしまいます。ある程度硬さがある木材がオススメです。

私はアフリカンパドゥクでLOAK-PROTOTYPE 02(LP02)を作りました。密度はあまり高くない木材ですが硬さがあります。マイルドで太い音のLP02を硬い木材を選ぶことで輪郭がボヤけすぎないようにしています。この木材は比較的軽やかな音になりやすいですが、低音も過不足なく、むしろ音が明るく開放的で色艶と響きや余韻がとても気持ちよく聴けます。もう少ししっかりコントラストや濃さのある音を望む場合は密度が高い木材を選ぶと良いでしょう。

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