LOAK-PROTOTYPE 03(LP03)がリリースされました。商品については634EARSの製品ページ(以下のページ)に記載しておりますので、こちらのブログではLOAK-PROTOTYPE 03(LP03)の詳細や他モデルとの音の比較ついて解説したいと思います。
【LOAK-PROTOTYPE 03(LP03)の詳細】
LOAK-PROTOTYPEシリーズはLOAK2制作の過程における試作段階で生まれた新しいLOAKです。LOAK-PROTOTYPE 03(LP03)はPROTOTYPE 02(LP02)のフロント筐体とリア筐体を真鍮に変更したイヤホンです。
筐体)
筐体の構成はウェブサイトの LOAK-PROTOTYPEのページ にも記載していますが以下の構成となっています。
フロント筐体:真鍮
ボディ筐体:チタニウム
リア筐体:真鍮(半艶消し)
PROTOTYPE03はフロント筐体が真鍮になっています。ボディ筐体はチタニウムになっています。ボディ筐体は3Dプリントでの制作です。チタニウム素材にすることでステンレス筐体よりもシナりやすく(変形しやすく)、リア筐体内部での空気の反発がとても速く大きくなります。これによって振動板が大きく速く動き、ダイナミックな幅のある音を出しながら反応の早いキレの良い音も実現しています。
フロント筐体は真鍮ですが1つだけ構造的に違う部分があり、この真鍮モデルのみ内部の空気圧を逃がす穴がありません。ノズル付近には水分がたまりやすく錆びやすいので小さな穴がふさがりやすく音に影響を与えてしまいます。なので最初から空気圧を逃がす穴をなくして完全に密閉する構造になっています。本来、ダイナミック型ドライバ―でこのような構造にすると装着時に空気の逃げる場所がなく振動板がペコペコと音を立てることがありますが、新しいLOAKでは振動板が曲げに強く硬質なカーボン素材なのでこの問題に耐えることができます。しかし、あまり強く耳にイヤホンを押しあてることを繰り返し振動板に急激に強い力を与えると振動板が変形し変な音がでる原因にもなるので注意が必要です。
ダイナミック型ドライバーの振動板はカーボン素材に変更しました。硬いけれどよくシナる(変形する、歪む)ので、速く大きく動きます。これにより反応の早いキレのあるシャープな音と幅のあるダイナミックな音が出せるようになっています。
リア筐体部分の真鍮は半艶消しとなっており、傷つきやすい鏡面や仕上がりにムラがある槌目加工などはやめて使いやすく仕上げています。
【音質】
PROTOTYPE 03(LP03)はLP02の真鍮版ですが、低音がとてもリッチで全体的に線が太くマイルドな音です。高域はすこし大人しくなりあまり音の輪郭が強調されなくなりますが、音の繋がりが自然で聴きやすさもあります。中低音の響きや余韻が多く小さなライブハウスのような空気感があります。
旧モデルとの比較)
旧LOAKとは音がかなり違います。最も近いのはLOAK-TCですがもっと音が太いです。旧LOAKのようなカッチリした硬質な音ではなく、柔らかくマイルドでウォームな音です。
LOAK2との比較)
LOAK2とも音は大きく違います。特にLOAK2(OP)とは真逆に位置するような音色です。低音はLOAK2(CL)から更にボリュームが増えたような音です。特に最低域がLP03のほうがよく出ています。
他のPROTOTYPEとの比較)
PROTOTYPE02(LP02)がLP03と筐体部分以外がほぼ同じチューニングなのですが、フロント筐体が真鍮になったことで音の明瞭さや輪郭の際立ち方がかなり違います。LP02もLP01と比べるとそれほど輪郭が強調しない音ですが、LP03はさらに輪郭が強調されず他の音と一体となって馴染んで聞こえます。なのでLP03は「声」を聴くことに関してはあまり得意ではないイヤホンかもしれません。しかし、中低域はとてもリッチでムーディーです。スピード感はあまりなくゆっくりとした重たい音を聴かせてくれます。またマイルドな中にも荒々しさがあり、どこかアナログ的な音を感じさせます。これはチタニウムには出せない音で真鍮ならではの個性的な音です。
【真鍮のケアについて】
フロント筐体とリア筐体に削り出しの真鍮を採用しています。錆止めでの保護以外はしておりませんので、使っていくうちに真鍮の色が深くなりくアンティークのような色合いになります。ただし、ノズル部分においては水分が留まりやすく錆びる恐れがあります。使うたびにイヤーピースを外し、定期的に磨くなどのケアが必要な少し手間のかかるイヤホンです。しかし、このような手間がまた愛着を持たせてくれるイヤホンでもあります。
【数量限定販売について】
真鍮モデルのLOAK-PROTOTYPE 03(LP03)は限定30個の販売としています。
追加生産するかどうかは現時点では未定です。もし追加受注する場合はある程度まとまった数を作る必要があるためその際も限定数の販売となりますが、初回のみの限定となる場合もあります。