LOAK2-Ti(CL)

LOAK2-Ti(CL)はLOAK-PROTOTYPE01がリニューアルされたモデルです。こちらのブログではLOAK2-Ti(CL)の詳細や他モデルとの音の比較、リア筐体の木材について解説したいと思います。ご注文や基本情報は以下の製品ページをご覧ください。

筐体)

フロント筐体:チタニウム
ボディ筐体:チタニウム(CNC切削)(MMCX部分のみ樹脂)
リア筐体:木材各種、ステンレス、真鍮、銅(真鍮と銅はモメンタムファクトリー・Oriiの着色カラーあり)

LOAK-TiがLOAK-PROROTYPE01から大きく変更となったのはボディ筐体です。3DプリントからCNC切削に変更しました。形状などはLOAK2-TSと同じです。見た目はほぼステンレスと同じですが若干チタニウムのほうが時間経過によって表面が黒っぽいようにも思います。

フロント筐体は旧LOAKとほぼ同じ形状ですが、内部構造がすこし違って、ドライバ―を固定する場所に薄いステンレスを組み込んでいます。チタニウムやアルミは振動減衰が低くドライバ―から「出た音」をノズルの先端へ伝えるのにとても良い素材ですが、ダイナミック型ドライバ―の振動を抑えることが苦手です。そこでドライバ―の接地面にステンレスを組み込むことでダイナミック型ドライバーの振動をしっかり抑え、力強い低音とブレのない音を出すことを実現しています。

MMCX部分は音に関係する筐体から外へ出した設計となっており、この部分だけ少し特殊な構造のため3Dプリントでの樹脂素材で制作しています。

音について)

キレのあるシャープさと適度に膨らみのあるダイナミックな中低域がバランスよく両立した音だと思います。

旧LOAK-PROTOTYPE01(現LOAK-TX01)と同じチューニングですが、筐体が3DプリントからCNC切削となったことで音に若干の変化があります。3DプリントのLOAK-PROTOTYPE01(現LOAK-TX01)よりもわずかに音がマイルド。また響きや余韻が抑えらえオーソドックスな音に少し寄ったような感じがします。

これは同じチタンでもCNC切削と3Dプリントで硬さが違うことが影響していると思われます。また、3DプリントからCNC切削のボディ筐体になったことで、ダイナミック型ドライバ―背面の空間が構造上すこし狭くなっていることも関係しているようです。この2つの影響で振動板の動きにわずかな違いが生まれ音の違いとなって表れているようです。

LOAK2-TX01との比較)

フラッグシップモデルのLOAK2-TX01と筐体以外は同じなので音も基本的には同じ部分が多いですが、音の輪郭や解像感、レスポンスの速さ、明瞭さ、軽やかさ、響きの多さ、華やかさ、空間の広さはLOAK-TX01ほうがワンランク上だと感じます。逆にLOAK2-Ti(CL)はあまり味付けのないオーソドックスな音色なので好みによってはこちらが良いと感じる人もいるでしょう。
この2つのモデルの音は僅かな差であり、周波数測定でもあまり大きな違いはありません。ですが、音の響きの美しさ、艶感や空間の広さなどは音楽をよりリアルに感じさせる部分であると感じさせられます。

LOAK2-Ti(OP)との比較)

同じ切削チタンボディのLOAK2-Ti(OP)とはドライバーのチューニングが少し異なります。Ti(OP)はより多く空気を取り込むドライバ―設計になっているので振動板が大きく動き、太くパワフルな音です。また、Ti(OP)は開放型なのでリア筐体内の空気の反発が優しくゆったりしたルーズな音になります。その分、音の明瞭感や輪郭の明確さは弱まるのでTi(CL)のほうがシャープさや解像感で勝り、音がタイトです。
Ti(CL)のほうがスッキリとしたソリッドな音、Ti(OP)のほうがゆったりとした太い音です。この2つは完全に好みの違いであり、どちらか優位かという差はないと思います。

LOAK2-TS(CL)との比較)

ステンレスボディのLOAK-TS(CL)と比較すると、LOAK-TS(CL)のほうが音が強く濃く鋭いです。また、TS(CL)は音が閉鎖的だと感じます。チタニウムボディのTi(CL)のほうが軽やかさがあり音が滑らかでバランスが良いです。強いエネルギッシュな音を求めるならTS(CL)のほうが向いていると思いますが音のアタックや高音の鋭いピークも少し出やすいので、聴きやすさや全体の音のまとまり、迫力と軽やかさのバランスを求めるならばTi(CL)のほうがオススメです。

【リア筐体の木材について】

このモデルは開放型のOP(OPEN)タイプよりもリア筐体の木材や金属の種類による音の違いが大きいです。それでも、どの木材を選んでもLOAK2-Ti(CL)の音には違いはなく、選んだ素材によって他のモデルになるほどの大きな変化はありません。しかし、聴き比べるとわずかな違いが判る程度には音に差があります。

タイトでカッチリとした音にしたければ、硬く密度の高い木材がオススメです。黒檀かそれ以上に硬いものがそれにあたります。
逆にもうすこしマイルドな音にしたければ、あまり硬すぎない木材がオススメです。ローズウッドかそれよりも柔らかい木材が良いでしょう。
軽やかさやスリムな音にしたければ、硬いけれど密度はそれほど高すぎない木材(密度に対して硬さのある木材)が良いです。例えばパドゥクなどがそれにあたります。

私はデモ機としてスネークウッドを選択しました。木材の中でもトップクラスに硬いスネークウッドは輪郭がはっきりとしたタイトな音です。また、スネークウッドは634EARSの木材の硬さ密度表では「硬さ>密度」になる数少ない木材です。このタイプの木材は中低域がスッキリとしやすく、軽やかさや空間の広さを感じやすいです。

金属素材も選択が可能です。金属にはモメンタムファクトリー・Oriiによる着色金属も選択可能です。金属は木材より少し薄く加工し、中心を削って軽量化しています。そしてその削った部分には高反発素材を設置しています。これは塊の金属のままだと重さがあり、リア筐体内部の空気の圧縮による反発が強く音がキツくなりすぎるためです。 また、中心に設置してある高反発素材はリア筐体内部の圧縮された空気を適度に反発し、また適度に入射(吸収)することで、硬く歪みにくい(変形しにくい)金属による強い空気の反発をやわらげてくれるので、振動板の動きがタイトすぎず少し大きく動くことでダイナミックで量感のある音を出してくれます。

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