LOAK2-TX03

LOAK2-TX03はLOAK2リニューアルの今回新しく加わったフラッグシップモデルの1つです。こちらのブログではLOAK2-TX03の詳細や他モデルとの音の比較、リア筐体の木材について解説したいと思います。ご注文や基本情報は以下の製品ページをご覧ください。

筐体)

フロント筐体:チタニウム
ボディ筐体:チタニウム(3Dプリント)
リア筐体:木材各種(開放部分ステンレスメッシュはシルバー)

LOAK2-TX03のボディはチタンの3Dプリントで、PROTOTYPEシリーズの筐体とは違い、制作を日本国内に切り替えてより高性能で完成度の高い筐体となりました。PROTOTYPEにあった筐体の歪みや積層のムラが改善されています。

フロント筐体は旧LOAKとほぼ同じ形状ですが、内部構造がすこし違って、ドライバ―を固定する場所に薄いステンレスを組み込んでいます。チタニウムやアルミは振動減衰が低くドライバ―から「出た音」をノズルの先端へ伝えるのにとても良い素材ですが、ダイナミック型ドライバ―の振動を抑えることが苦手です。そこでドライバ―の接地面にステンレスを組み込むことでダイナミック型ドライバーの振動をしっかり抑え、力強い低音とブレのない音を出すことを実現しています。

リア筐体開放部分については、これまでのOPENタイプよりも開放部分の内径をすこしだけ大きくしています。これはリア筐体内部の空気の反発を少し抑えて振動板の動きをソフトにし、CLOSEDタイプとの違いを明確に出すためです。同じLOAK2-TXでもTX02はメッシュ部分が黒色でTX03はシルバーとなっております。

音について)

LOAK2-TX03はLOAK2-TS(OP)をベースにしています。ステンレスボディだったLOAK2-TS(OP)の筐体をチタンの3Dプリントに変更しそれに合わせて音も最適化したチューニングになっています。LOAK-TX03はLOAK2-TS(OP)と同じく音が細く繊細なタイプですが、TX03は全体がマイルドでソフト、アタックや鋭いピークが抑えられた優しいウォームな音をしています。全LOAK2のなかでもっとも優しいソフトな音だと思います。

LOAK2-TS(OP)との比較)

LOAK2-TX03はLOAK2-TS(OP)と似たような周波数帯域ですが、音の傾向はかなり違います。比較的シャープでエッジのあるTS(OP)に対して、TX03はマイルドでソフト。TX03のほうが音の滑らかさやまとまりが良く聴きやすい音です。また、どちらも低域が控えめではありますがTX03のほうが低域が多く、低中高のバランスが整っています。 

LOAK2-TX02との比較)

同じフラッグシップモデルの開放型LOAK2-TX02と比較するとその音は大きく異なります。TX01は音の線が細く繊細ですが、TX02は太く力強いです。また、TX01は音の強弱を抑えて聴きやすくしていますが、TX02はメリハリのあるエネルギッシュな音です。似ているのは少しウォームである温度感だけで他はほぼ真逆に位置する対極の音だと思います。

【リア筐体の木材について】

このモデルは開放型のOPENタイプなのでCLOSEDイプよりもリア筐体の木材や金属の種類による音の違いは小さいです。どの木材を選んでもLOAK2-TX03の音には違いはなく、選んだ素材によって他のモデルになるほどの大きな変化はありません。しかし、聴き比べるとわずかな違いが判る程度には音に差があります。

カッチリとした音や輪郭をハッキリ出したい場合は、硬く密度の高い木材がオススメです。黒檀かそれ以上に硬いものがそれにあたります。
もうすこしだけマイルドな音にしたければ、あまり硬すぎない木材がオススメです。ローズウッドよりも柔らかい木材が良いでしょう。
軽やかさや優しい音も求めるならば、密度はそれほど高すぎない木材が良いです。

私はデモ機としてグラナディロを選択しました。グラナディロは634EARSで取り扱う木材の中では硬さ密度ともに中程度。音の輪郭が濃すぎず浮き出ないため全体の統一感があります。また、比較的柔らかくマイルドで優しい音色です。TX03優しい穏やかな音色の方向性に沿った木材のチョイスだと言えます。そのぶん音の輪郭は明瞭ではありませんが、もともとこのモデルは明瞭さやクリアさを特徴としていないのでTX03の方向性と合わせた木材を選びました。 もう少しはっきりとした音が良い場合はより硬い木材や密度の高い木材を選ぶとよいでしょう。

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