LOAK2-TS(OP)は旧LOAK2(OP)のモデル名が変更となったものです。筐体構成などは旧LOAK2(OP)と同じですが、改めて他のモデルとの音の比較などを中心に解説します。
筐体)
フロント筐体:チタニウム
ボディ筐体:ステンレス(CNC切削)(MMCX部分のみ樹脂)
リア筐体:木材各種(開放型)
フロント筐体は旧LOAKとほぼ同じ形状ですが、内部構造がすこし違って、ドライバ―を固定する場所に薄いステンレスを組み込んでいます。チタニウムやアルミは振動減衰が低くドライバ―から「出た音」をノズルの先端へ伝えるのにとても良い素材ですが、ダイナミック型ドライバ―の振動を抑えることが苦手です。そこでドライバ―の接地面にステンレスを組み込むことでダイナミック型ドライバーの振動をしっかり抑え、力強い低音とブレのない音を出すことを実現しています。
MMCX部分は音に関係する筐体から外へ出した設計となっており、この部分だけ少し特殊な構造のため3Dプリントでの樹脂素材で制作しています。
リア筐体開放部分については、これまでのOPENタイプよりも開放部分の内径をすこしだけ大きくしています。これはリア筐体内部の空気の反発を少し抑えて振動板の動きをソフトにし、CLOSEDタイプとの違いを明確に出すためです。
音について)
音は繊細さや軽やかさ、広い空間表現が特長で気持ちの良いサウンド。音の線が細く解像感がありスッキリしています。LOAK2の中では最も低音が弱いですがベースとなった旧LOAK-T(OP)に比べると低音は多く、旧LOAK-T(CL)くらいの低音量です。低音が控えめなぶん高域は目立ちます。
LOAK2-TX03との比較)
フラッグシップモデルのLOAK2-TX03とドライバ―部分のチューニングは近いですが、3Dプリント筐体のTX03のほうが低音が強く低中高の周波数バランスが良いです。大きく違う部分としてTX03はとてもマイルドでソフトで滑らかなのに対して、TS(OP)は高音が良く伸びますが鋭く硬めの音です。アタックや高音のピークもTS(OP)のほうが強いです。音の柔らかさに関してはこの2つのモデルは真逆にあるといってよいでしょう。
LOAK2-Ti(OP)との比較)
チタンボディのLOAK2-Ti(CL)とは筐体だけでなくドライバーのチューニングが異なります。TS(OP)が輪郭が細くスッキリした音であるのに対して、Ti(CL)は輪郭が太く中低域が多いです。この2つのモデルも全く逆の方向性であると言えます。
【リア筐体の木材について】
このモデルは開放型のOP(OPEN)タイプなのでCL(CLOSED)タイプよりもリア筐体の木材や金属の種類による音の違いは小さいです。どの木材を選んでもLOAK2-Ti(OP)の音には違いはなく、選んだ素材によって他のモデルになるほどの大きな変化はありません。しかし、聴き比べるとわずかな違いが判る程度には音に差があります。
カッチリとした音や輪郭をハッキリ出したい場合は、硬く密度の高い木材がオススメです。黒檀かそれ以上に硬いものがそれにあたります。
もうすこしだけマイルドな音にしたければ、あまり硬すぎない木材がオススメです。ローズウッドよりも柔らかい木材が良いでしょう。
軽やかさや優しい音も求めるならば、密度はそれほど高すぎない木材が良いです。
私はデモ機として手違紫檀(チンチャン)を選択しました。この木材は硬さや密度が高く、634EARSの木材の硬さ密度表では「硬さ>密度」になる数少ない木材です。このタイプの木材は中低域がスッキリとしやすく軽やかさを感じやすいです。線は細いけれどコントラストが強くハッキリした音です。