MIROAK-IIの詳しい解説

新しく発売された「MIROAK-II」について少し詳しく解説いたします。

1) 製品コンセプト。
2) 筐体設計。
3) ステンレス筐体と樹脂筐体。
4) 多様なリア筐体(バックプレート)。
5) 旧モデルMIROAKとの違い。
6
) オススメの木材(金属)

MIROAK-IIの製品ページは以下。

https://634ears.com/products/miroak-ii/

1) 製品コンセプト

MIROAK-IIはMIROAKが新しくなった後継機です。聴きやすいという部分とLOAKの系統であることは引き継ぎながらも筐体設計や音の傾向を大きく変えて別モデルとしてリニューアルしています。
ここ最近軽めのスッキリした音のモデルが多かったですが、低音もしっかり出して迫力あるダイナミック型らしさが楽しめるモデルかと思います。

2) 筐体設計

筐体にはフロントにステンレス。ボディにABS樹脂、リアは木材や金属が選べるという構成にしています。今回特にこれまでと大きく違うのはボディの部分に樹脂を使っているということです。フロント筐体は切削なのに対してボディは3Dプリントで制作しており、複雑な形状も比較的簡単に作ることが出来るため装着感などの向上にもつながっています。

ボディ筐体のベースはLOAKですがノズルの角度が変更され斜め上方向になっています。これにより筐体が耳にねじ込まれるようになりフィット感が向上するとともに、横から押し当てるような装着をするのではなく回すように装着することで振動板に瞬間的に圧がかかるのも防げます。

ノズルの角度は変わってもD型ドライバ―正面から垂直に伸びるように位置しているため、角度が曲がることによる高域の減衰もありません。

3) ステンレス筐体と樹脂筐体

フロントのステンレス筐体はコントラストの高い強い音を出すことができ、さらにD型ドライバーの振動を吸収することに優れるため低域もしっかりと出ます。

樹脂筐体にはABS樹脂を使っており、レジンなどと違って変形に強く粘りがあります。曲がりやすいということです。シナりやすい、形が歪みやすいとも言えますね。金属と比べて音響的に劣るような捉え方をすることもありますし、実際にフロント筐体として使うには振動の減衰率の高さゆえ金属より劣る部分も多いですが、リア筐体と使う分には金属にない柔らかさからくるシナり(形の歪みやすさ)から内部の空気をしっかり圧縮して反発する力が生まれるため振動板を大きく動かしてくれます。これにより音圧のある太く力強い音が再現されます。

タイトで反応の早いカッチリした音とはまた違う量感のあるムッチリとした音も個性的です。特に低音にその特徴がでやすくタメのあるような弾力性のある低音はノリのよい音楽にピッタリだと思います。また、音色も柔らかく聴き疲れしにくいです。

4) 多様なリア筐体(バックプレート)

リア筐体のバックプレートには木材、ステンレス、真鍮、銅の大きく4種類があり、木材と真鍮と銅はそれぞれにまた種類があります。

真鍮と銅の金属着色には旧MIROAKに引き続き、モメンタムファクトリー・Oriiの統技術を用いた着色を施します。真鍮はノーマルの削り出しと着色タイプ2種類、銅はすべて着色した3種類です。

 → モメンタムファクトリー・Orii
 → モメンタムファクトリー・Oriiによる真鍮と銅の着色について

木材や金属はそれぞれ比重や硬さが違うためリア筐体全体の比重や硬さなどが変わり、若干の音の違いがあります。ベースの音は決まっていますが、最後の味付け程度に自分の好みに近づけたり、見た目を自分好みのもので作ることが可能です。

5) 旧モデルMIROAKとの音の違い

旧MIROAKとは聴きやすさやLOAKからの派生した系統の音という部分は共通していますが、音は大きく異なります。

旧MIROAKか音の線が細めで軽やかであっさりしたタイプの音だったのに比べて、MIROAK-IIは音が太く濃く力強いです。グッと迫力傾向に寄った音かと思います。また低音がしっかりしています。あっさりと濃厚という感じの違いです。

音としては634EARSの中ではLOAK-S(CL)に帯域バランスが近いと思いますが、それよりも音が柔らかくマイルドで聴きやすいです。また低音は質感が少し異なりタメのあるようなムチッとした弾力があります。

パワフルで迫力のある音である一方、スリムでスッキリな音やシャープで硬い音ではないので、その辺は好みが分かれるところではありますが、樹脂筐体の特徴的なこの音はLOAKや新しくリニューアル予定のLOAKでもない音なので広い意味ではLOAK系統の1つの選択肢であるともいえると思います。

6) オススメの木材(金属)

ボディがABS樹脂筐体のため柔軟でシナやすい素材ですので、リア部分にはある程度硬い木材や金属のほうがおすすめです。硬ければ硬いほど音はタイトで音の輪郭もわかりやすく反応の早い音になります。逆に柔らかい音だとよりソフトにまったりとした音になる傾向にあります。

また、密度が低い木材は木材そのものにリア筐体内部の空気の圧力が入射(吸収に近い)するため、その反発が弱くなり優しくマイルドな音になりやすいです。

個人的なオススメとしては樹脂が十分柔らかく反発するので、リア部分には硬い木材、または金属がオススメです。

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