リア筐体の密閉型と開放型の違い

新しいLOAK2やLOAK-PROTOTYPEにも密閉型と開放型の2つのタイプがあります。リア筐体の背面部(バックプレート)に穴が開いている開いてないだけの違いではあるんですが、これらの音がどのように違うかご存知ですか?

穴がふさがっているから遮音性が高く閉鎖的な音で、穴が開いているものは開放的な音がする?低音が弱い?と思っていませんか? それは見た目のイメージからくるものであって、実際はそうではありません。

良い機会なのでちょっと詳しく解説してみましょう。

【リア筐体が音に与える影響】

ダイナミック型ドライバーのイヤホンの場合、ドライバ―設置部分より前をフロント筐体、リア筐体と私は区別しています。
フロント筐体はドライバ―から出た音が反響や増幅などをしノズル先端からでてきます。
それに対してリア筐体はドライバーの振動板の動きに影響を与えます。その振動板の動きの強さや速さや大きさが変わることで振動板から発せられる音が変わってきます。

【密閉型】

バックプレートが密閉型の場合、振動板の動きによるリア筐体内部の空気の圧縮と反発の力が強くなり、これによって振動板の動きも強く速くなります。

振動板がこのような動きをすると、キレのあるスピード感ある音、タイトな音、強い音になりやすいです。その反面、高域にピークが出やすく、そのピーク以上の高域がすこしマスクされやすい傾向にあります。

【開放型】

バックプレートが開放型の場合、振動板の動きによるリア筐体内部の空気の圧縮と反発の力が開放されたバックプレート部分から外へ抜けてしまうので、圧縮反発の力が弱くなり、これによって振動板の動きは密閉型に比べると小さくなります。

振動板の動きが小さく弱くなると、優しく繊細な音になりやすく、密閉型に比べて高域のピークが出にくいです。しかしその反面、スピード感や力強さ(迫力)は密閉型と比べ弱まります。また、密閉型よりすこしだけルーズな音になりやすいです。

【密閉型と開放型の低音】

とくに密閉型と開放型の違いが分かりやすいのが低音です。
密閉型は音の立ち上がりと収束がはやいタイトな低音になります。音の輪郭もハッキリして少し弾力のある音になりやすい。アタックやインパクトも感じやすいです。音が締まってタイトなぶん少し低音の量感は控えめに感じることもあります。

開放型は密閉型に比べるとすこし緩めた感じの幅のある低音になりやすく、ボリュームはあるけれどゆったりした低音になりやすいです。


開放と密閉の選択だけで音が決まるわけではなく、この部分は音を決める要素の1つなので、この2つのタイプをしっかり理解してどのような音が自分の好みか判断する材料の1つにするとよいと思います。

関連記事