木材の音の違いについて その1「数値化できない」

木材の音の違い」について過去にInstagramの解説アカウントにて「(旧)木材の違いについて考える」シリーズの投稿してきたのですが、新規のユーザーの方も多いですし新しく得た知見もありますので、改めて解説してみたいと思います。

ではさっそく!

《まず前提として知っておきたいこと》

リア筐体の木材によってドライバ―から出る音に違いがでます。これはまた別の投稿でも解説したいのですがドラムや太鼓のシェルや銅の素材や厚みが違うのと似たようなことです。

ご注意いただきたいのはドライバーのフロント側になる「フロント筐体の響きや余韻」とはドライバーの後ろ側の筐体の響きは仕組みが異なることにご注意ください。

フロント側は「ドライバ―から出た音(振動)」が筐体に反射したり残響したりする響きのことであり、
リア筐体側は筐体の素材によって「ドライバーから出る音(振動)」に違いがでるという意味での響きの違いのことです。

どちらも日本語では「響き」とひとくくりにされますが、フロントとリアは役割としては違うものになりますのでご注意ください。

《数値化できない木材》

木材の音の違いの目安となるものに
・比重(密度)
・硬さ
・弾性係数
・素材の減衰率

それに加えて木材特有の
・油分
・木材によっては透過性

などもかかわってきます。

ですが、ハッキリと「この木材はこういう数値なのでこういう音です」と断言することはなかなか出来ません。

その理由はいくつかあるのですが、
1つは「計測数値が違うこと
その木材の比重や硬さの数値を計測した機関も違えば条件も違うためその数値は調べるとわかりますが掲載しているサイトなどによって大きく違います。

例えば、インディアンローズウッドと検索して、とあるサイトには0.75と記載があるのにたいして別のサイトには0.9であったり1.1などの記載もあります。0.75と1.1はかなり大きく違います。それは黒檀とマホガニーくらい違います。

そしてもう1つは「個体差が大きいこと
木材には個体差があります。同じ木材でも育っていた国が違うものもあれば地域が違うものもありますし、樹齢も違えば、その木材の根元なのか先端のほうなのか、表皮に近い部分なのか中心なのか、さらには伐採してどれくらい乾燥させているのか1ヵ月なのか3年なのか10年なのか、いろいろな条件で密度や比重などの数値は大きく変わります。

先ほども言いましたが、0.75と1.1は木材の比重としてはかなり大きな差です。この差が1つの同じ種類の木材にあるということです。そしてそれが個体差なのか計測の差なのかもわかりません。

「数値化できない」ことがとても木材の音の違いを曖昧にしているところではありますが、自然のものである天然の木材を1つの数値で表すのは無理があるのは当然です。

しかしポジティブに考えるとどの木材を選んでも最終的な音は作って聴いてみるまで分からないという面白さにもなります。

とはいえ、平均値で語ることは可能ではありますから「傾向」として今後少しずつ個別の木材について少しずつ解説もしてみようと思います。

関連記事