木材の選択についての話

先日試聴会でも展示した木材と金属の筐体見本ですが欠品していた斑紋ガス青銅色の銅プレートが入荷しましたので新しく更新しました。

サンプル見本にない木材もたくさんありますし、金属もありますが、ひとまず人気なものと品質が安定しているものを中心にイヤホンとして634EARSでよく使われるものをチョイスしております。今後は試聴貸出などでもこういったものを一緒のお送りできたらなと考えています。

木材が音に及ぼす影響をどう伝えるか

先月の試聴会であったり試聴機の貸出やオーダーの際の相談でもそうなのですが、木材によるリア筐体の音の違いを知るためにはまず、リア筐体がどのように音に影響を与えているかを知る必要があります。

これまで何度も繰り返すように同じようなことをブログやSNSでも書いてきたこともあってか、試聴会では多くの方がリア筐体の木材について理解が深く正しく伝わっていることがうれしいと思うこともありましたが、その逆にやはり「木材の響き」「歪み」などの言葉が日本語的にどうしても違うニュアンスで伝わって理解されることもあるというのを再認識し、まるでリア筐体の内部で音が響いたりしてそれが聞こえているかのような話を耳にすることも少なくありません。

金属や木材を叩いたり吹いたりしたときのあの音としての響きである余韻や残響や反射などのことをイメージされる方が多くて、それはドライバーの前にあたるフロント筐体であり、リア筐体は音としての響きが聞こえるのではなく音を発する振動板の動きに影響があるということはこれまでもお話ししてきた通りです。

また、「木材の響き」が木材らしいウォームな余韻や残響のような音のイメージがあるのでどうしてもリア筐体内部で何か音が発せられているように認識してしまうことは仕方ないですし、リア筐体の「歪み」という言葉はオーディオ用品ですから音が歪んでいるかのようにとらえられてしまうのも仕方ありません。ここでの歪みというのは物質が変形する(たわむ、曲がる)という意味の歪みになります。振動板の動きでリア筐体内部の空気が圧縮されそれによって筐体が歪む(実際には曲がったりすることはないが力が加わってそこから反発する力が振動板に加わる)ということですね。

こららのことをお伝えするのにはとても時間がかかり、じっくり説明しなければなりません。しかし、厄介なことに、これらを理解していただかない限り木材による音の違いを理解することが出来ないのです。

ひとつのカタチとしてのコンテンツ

木材についてのパンフレットを以前制作しまして今現在も継続して希望する方には送付しておりますが、合計34ページに及ぶ文字中心の解説はもはや一般向けというには難しすぎるなと感じております。

また、実験検証の結果「こういう木材を選べばこういう音になる」ということはわかっていても、それが何故そうなるのかわからない部分もあったりしてスッと頭に入れるには強引だなと思う部分もありました。

しかし、この試みは良かったと個人的には思っていて、今後さらにわかりやすく改良したものを作ろうと思っています。 特に上記に書いたような音が変化することが分かっているけれどそれが何故かわからないという部分はかなり明確にわかってきたのでもしかしたら完全版または最終版というような実験検証の結果が作れるのではないかと思っていますし、それを木材を選ぶときに参考にする1つのコンテンツにしたいなと考えています。

また文字だけでなく動画なども活用していこうと思っていて、日本以外の国の人にもわかるようにつくろうと思います。

難しいことではあるので少し時間がかかるかもしれませんが、ここは避けては通れない部分だと思っていますし、そこをクリアできれば筐体素材選ぶがものすごく楽しくなると思います。特に音の好みは人それぞれありますから、1つのイヤホンをほんの少しだけ自分の好みや理想に近づけたりできるこの部分は柔軟性がありとても良いことだと思っています。

さっそく取り掛かろうと思うので少しお時間くださいね。

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