4)振動板素材について考えてみる。その2「634EARSの音を出すための条件」(The”634EARS for the Best Earphones”Project.)

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前回の記事を読んだ前提で話を進めますのでまだの方はそちらをご覧ください。

1) 振動板素材

振動板素材には色んなものがあります。金属素材もあれば炭素系素材、樹脂素材など様々です。

634EARSではこれまでチタニウム素材やチタニウムコート素材やベリリウム素材などの金属タイプであったり、グラフェン素材、液晶ポリマーやポリウレタン素材など様々な振動板のドライバーを採用してきました。

柔らかい素材などは振動板が変形しやすいので、音の調整幅は大きいのですが、D型ドライバ―特有の装着時のフレックス音がしやすいです(ペチャペチャとした音)。
これを防ぐためにD型ドライバーのフロント側に空気穴をあけて圧を逃がしますが、この穴があるため低音が逃げやすかったりします。

例えばLOAKなどは比較的素材としては柔軟性のある素材の振動板を使っています。なのでものすごく音の調整幅が大きいです。そのなかで繊細で輪郭のはっきりした音を出すために柔軟性のある薄い振動板にテンションをかけて(ドラムのヘッドを緩みなくキツく張るイメージです)疑似的に硬く変形しにくい素材のようにしています。

ですが、そういった使い方は耐久面での課題もあり、一度振動板に強い圧力が外部から加わると壊れやすかったりフレックス音がするようになるので注意が必要です。

硬い素材は振動板が変形しにくいので装着時のフレックス音などはあまりしませんが、音の調整幅が小さかったりもします。

例えばOBERやSARNなどは金属タイプの振動板で硬い素材のものを採用しました。 
硬い素材も薄くすれば変形しやすく振動板の動きを大きくすることができますが、金属素材によっては薄くしても硬く変形しにくいものが多いので、どうしてもシャープで鋭くタイトな音になりやすいという問題もあります。

最近はさらに炭素強化された液晶ポリマーであったりダイヤモンドライクカーボンなどの振動板もあるので、硬くても音の調整幅がだせるような振動板のD型ドライバ―も出てきています。

2) ベストな素材は何か?

そんななかベストな素材をチョイスして最高のイヤホンとなるLOAKのアップグレード機種を作りたいのですが、果たして何が望ましいのでしょうか?

これまでいろいろな素材の振動板のD型ドライバーをテストしてきましたが、結局のところ素材としてのベストはあまり決めきれていません。

というのも、素材による硬さや内部損失や密度などの違いはあれど、その素材をどれくらいの厚みやテンションの掛け方で振動板として使うかでヤング率などが変わってくるからです。

硬い金属素材も薄くすれば変形しやすくなりますし、柔らかい樹脂素材でもテンションをかけて振動板を張れば硬い素材のようになります。

ただし、現在考えているのはLOAKよりさらに反応の良い繊細な音をだしたいことと、振動板の動きを大きくしてダイナミックさや低音も充実させたいと考えているので(この2つは相反する条件です)、今使っているLOAKより硬いけれど弾性もあるような素材を求めています。

テストしているものだと液晶ポリマー系やグラフェン系が候補でおそらく金属タイプは求めるものとは音の方向性がすこし違うかなと考えています。


結局のところ現時点では決まらず終いですが、振動板に何を求めるかを634EARSとして考えてみました。

音響特性的にベストな条件も振動板にはもちろん必要です。

しかし、D型ドライバーを完全にオリジナル設計できない634EARSのような小さなメーカーは手に入るD型ドライバーをチューニングしてイヤホンとしてオリジナルの音を作らなければならないので、振動板の動きをどれだけ変えられるかという条件も必要になってきます。

本当は何から何まで最初からオリジナル設計したものばかりでイヤホンを製作するのが理想ですが、それは現実的に無理なので出来る範囲のなかでオリジナル性のある自分の音を出していくかという考えで開発しています。

なのでどんなにいい音がでるD型ドライバ―でも音の調整幅がとても小さいD型ドライバ―は634EARSの音ではなくそのドライバ―を作った人の音になってしまうので使わないようにしています。

この辺は人それぞれ各メーカーそれぞれに考えがあると思いますが、634EARSとして考えは柔軟性はもちつつも大事な部分だけは崩さないようにして拘りをもってやっていきたいなという感じです。

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