ダイナミック型ドライバーの振動について(その1)

ダイナミック型ドライバーを使うにあたってどうしても生じる「振動」の問題についてのお話しです。

この振動をどう抑えるかはブレのない音を出すのにとても大切です。
振動を抑えることなくそのまま音を出すと力が逃げてしまい音ブレだけでなく弱々しい音であったり芯のないメリハリのない音になりがちです。

土台がしっかり固定されていないという感じに近いと思います。
ボールを投げるときに足腰を使わずに手だけで投げたときのような感じでしょうか。その状態で投げてもコントロールも定まらずスピードもパワーもない球になってしまいます。

では固定だけしっかりとすればよいのか? というとイヤホンの場合はちょっと違います。

筐体にしっかりと全く動かないようにガチガチに接着剤などで固定すると、ダイナミック型ドライバーの振動はそのまま筐体に伝わってしまい筐体ごと振動してしまいます。

なので振動しているダイナミック型ドライバ―の振動が筐体に伝わらないように固定するのが理想です。

ちなみに、カスタムIEMやケーブル耳かけタイプ(Shureのような装着タイプ)のイヤホンほうが良い点として、筐体の振動を耳で固定することで抑えられるというのがあります。

逆にケーブルを下に垂らすタイプのイヤホンは主にイヤーピースで耳に保持されるため筐体は外からあまり固定されずに振動が抑えられません。これは先ほどの例のように手先だけでボールをなげるのに近い状態です。よって先ほど述べたようにドライバ―から筐体に伝わらないように振動を抑える必要があるのです。

かなりマニアックな話ではあるのですが、筐体を抑えることはダイナミック型ドライバ―の1つの重要な音作りのテーマでもあります。

この話は数回に分けて解説しますのでまた気になる方は次回をお楽しみに。

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